2012/06/15

「和樂」7月号、発売中です

「和樂7月号」はビビッドな表紙。
つくづく雑誌は、表紙がものを言いますね
今月発売の小学館「和樂」で、
人間国宝インタビューの文章を担当しました。
今回は、能楽・能シテ方の友枝昭世さんです。


能の世界で随一の人気シテ方の友枝さん、
都内の稽古場での練習風景を拝見したのですが、
とにかく動きがシャープ、かっこいいんです。
年齢など全く感じさせない身体能力の高さに、
思わず見入ってしまいました。
中腰のすり足で畳の上をスーッと動かれる所作は、
周囲の空気にすっと刀が入るよう。
迷いなく、静かに、潔く、美しく。
鍛錬のたまものとしか思えません。


能を観たのは高校の授業が最後の私。
シテが主役、ということぐらいしか分からなかったので
インタビュー前には入門書を大至急読んでにわか勉強。
直前に慌てて入門書を漁るなんて
まあ恥ずかしい話しですが、
知らないのはもっと話しにならない。
開き直って勉強するのが一番です。


それに、知らないことを知るってやっぱり楽しい。
ただしあまり楽しんで読むと、あー面白かったで終わっちゃって、
肝心の基本的な知識が頭に入らないことも。
ざっと書き出すと、頭の中にいろいろ整理されます。
それから、the能.com(http://www.the-noh.com/jp/index.html)というサイトも面白かった。
古のものは、奥が深いからその歴史を辿るだけでも楽しいもの。


水野聡著「風姿花伝」は
初心者に徹底的にやさしく書かれ、読みやすい。
本人が書いた「白洲正子自伝」は
白洲正子本人と、彼女の生きた時代の
面白さを味わえる本

ちなみに能は、600年以上も昔から続く日本最古の演劇。
当初は野外で行われていた舞踏劇、
つまりライブ・パフォーマンスだったということや、
人間の喜怒哀楽などを表す型、という基本の所作がいくつもあって、
それを基に舞いが構成されている(バレエにも似ていますね)ことなど、
基本的な事実が私にはとても新鮮でした。


今回のインタビューの下準備中に読み返した本は、
いくつかの入門書の他に自分の本が右の2冊。
「現代語訳風姿花伝」と「白洲正子自伝」です。


こういうときに参考までにと関連本を読み出すと
すっかりはまってしまって、
肝心の基礎知識の整理がおろそかになってしまうのは、
試験勉強前のマンガにはまる現象とほぼ一緒。


ふと本にはまっていることに気がついて
慌てて仕事に戻るのですが、
そういう時の集中力ってどっから出てくるのか自分でも驚くほど。
気まぐれに集中しないでさ、
普段からコンスタントに集中して欲しいんだけど、
と、自分にお願いしたくなります。


何かを極めている方のインタビューをすると、
いつも終わり頃には憧れのような感情がじわじわと湧いてきます。
何かを求めて一途に進む潔い生き方に、憧れてしまうんです。
今回の取材も同じく。


ご興味のある方は、ぜひ書店で手に取ってみてください。





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