2014/02/18

たこ料理交流会in天草

この扉の奥の給食室では、熱い女性がフル活動中
天草の有明地方はたこの名産地。
現地の方のお話しでは、
同じくたこの名産地である兵庫県明石のたこが、
かつて海水の温度異常で
絶滅を危惧されたときに、
天草のたこのを大量に送って放流し、
難を逃れたとか。
明石のたこは天草のたこの子孫!?

そんなたこの名産地で、
もう10年以上たこ料理を研究している
最強たこ料理チーム「ありあけワーキング」のみなさんの作戦本部である台所に
お邪魔させていただきました。

薄曇りの朝9時、
有明地区の元中学校の給食室に
お邪魔すると、
みなさん既にフル回転で仕込み中。
挨拶もそこそこに、
早速たこ料理を教えていただくべく
みなさんの中に紛れ込ませていただきます。



たこはしっかり洗ってぬめりを落とす。
冷たい水の中手際よくやらねばならず、これがひと仕事
今日は試食会に20名近いお客様が
集まるとのこと、
たこは1キロ強のものが10匹ほど
用意されていました。

たこはとにかく下処理が大切。
塩でぬめりや汚れをしっかり落としてから、
茹でたり加工するわけですが、
10匹のたこを洗うって、
10×8=80本の足と格闘すること。
ぐにゃぐにゃなうえに吸盤がぼこぼこついているたこは、
触ってみると分かりますが、
とてもとても洗いずらい。
洗うなんてもんじゃなく、
しごく、しごく、素早くしごく!




「俺達をちゃんとおいしくしてくれよー」

たこ道10年の皆さんの手つきは、
見ているだけでも気持ち良くなるぐらい
本当に鮮やかです。
なんだか自分も洗われているみたい。
しゃっつしゃっつしゃっ、
ざばっざばっざばっ、
グレーっがかっていたたこ達が、
みるみるさっぱりきれいな姿に。
きびきびした連携プレイも
すこぶるかっこいい!

私も早速、
たこの下処理の仕方を
教えていただきました。
生簀の中で楽しそうに遊んでいる
立派な有明たこが相手です。



「ほな、さいならー」
有明ワーキング代表の民本さんが、
ひょいっと掴んで置いた途端、
たこはアイスボックスの隙間を目指して
しゅるしゅると逃げていきます。
「こら待て!」とつかまえて引っ張ると、
吸盤が地面にキューっとくっついて
その力強さにまたびっくり。
まさに生命力の塊ですね、
食べたら御利益ありそうな逞しさ。









氷をドボン!
たこ漁師さんは、
急所を突いてとどめを差すそうですが、
その方法は10年選手のみなさんでもなかなか難しいそう。
いつものとおり、
氷で冷やしてしめることにしました。

バケツに生きたたこを入れて、
大きな氷の塊をドボン!
しばらくしてたこの動きが緩慢になってきたら、
頭と足を分け、
塩で全体をもんで汚れを落とします。

見ているだけなら
自分にも簡単にできそうに見えた生きたたこの掃除、
やはり見るとやるとでは大違い。









たこ、楽しいです(観光客気分)
スケート選手の華麗な滑りが、
あまりに華麗過ぎるゆえに
自分も練習したらちょっとはできるんじゃないか、
なんて錯覚する。

ジャンルが違い過ぎて
ピンと来ない例になっちゃいましたが、
とにかくその位、
ぐにゃぐにゃのたこを手にすると、
軟体動物を扱う難しさを実感しました。

生きたたこと格闘しつつなんとか洗ったら、
次は窯で茹でます。



給食室の大釜で10匹茹でます
給食室にある釜は、
たこ10匹茹でるのもラクラクの大きさ。
たっぷりの湯を沸かし、
色止めに酢を少々加えて数分茹でます。
たこを投入するときの持ち方も、
足からゆっくり入れるのがルール。
熱い湯の中で、たこはみるみる赤く染まっていきます。

商品化するという目的で
常にたこを扱っている皆さんは、
茹であがりの色や
皮がむけない(下手だと皮がむけます)など、
ビジュアルにも強いこだわりあり。
食感、見た目ともにベストなタイミングは
時間を計るのではなく、見た目と長年の経験で
判断。





左が圧力鍋、右が茹でたこ

試しに1匹だけ
圧力鍋で短時間加熱してみたのですが、
色も見た目もゆでだこには負けました。
ポルトガルでは、
家庭では圧力鍋で蒸す人が
多かったんです。
大きな鍋があれば、
茹でる方が見た目は断然いい。







色良く姿良く茹であがったたこをちぎってひと口。
うま味がギューっと詰まっています

たこを茹で終わったら、
いよいよ私もポルトガル料理の仕込みです。
たこサラダ、たことじゃがいものグリル、
たこごはんの3種を
10人前ずつ作りました。


有明の地元で民宿を経営している
おかみさんのみなさんにも御参加いただき、
一緒に料理。
大先輩の包丁さばきは
とにかく早い、美しい、手際が良い!




百戦錬磨の有明の民宿のみなさまと

お話を伺うと、
民宿の料理とは別に
毎日家族3世代8人分の料理を作る
という方もいらして、
ただただ頭の下がる思いでした。

毎日朝晩8人分を作るのって大仕事。
都会の個食、小食、小盛りに慣れていると、
大人数の料理って、
大仕事だなあと思います。
料理のポーションが
せいぜい4人分程度が主流の昨今、
私も10人分は久しぶり。
しかも、天草で10人分とは、
たっぷり2倍は作らないと、
もてなしにならないとか。
やや、それってポルトガルと
一緒じゃないですか!
たくさん作るとおいしいよね、という文化は
450年前に伝来した
南蛮文化の名残なのでしょうか?

給食室にあるさまざまな道具を使って、
皆さんにもお手伝いいただいて、
試食会開始15分を切ると大わらわ。
これがまた楽しい時間でした。


たこ、たこ、たこの料理がずらり。
御挨拶もたこのお話!
できあがった料理は
天草のたこ料理が
たこめし、
たこみそ、
たこきんぴら、
たこさし、
たこステーキ、
たこ天ぷら、
たこ炒め、
たこ入りのせんだご汁
(せんだごとは、さつま芋をつかった団子。
熊本の各地にあるが、天草のせんだごは
宣教師が伝授したレシピによると言われている)

そして、たこの吸盤の刺身!
これは新鮮なたこが入ったときのごちそうです。

最初から最後まで、
お口の中でコリコリしっぱなし!吸盤の刺身


ポルトガルの料理は
たこサラダ、
たことじゃがいものグリル、
たこご飯。
すべてがずらりと並ぶと壮観です。

天草のたこ料理は、
甘めの味つけが特徴でした。
さすがたこのゆで具合がばっちり、
どの料理も、箸が止まりません。




たこてんぷらと、たこめし。
ほんのり甘めの味つけ
たこステーキ!歯の弱いお年寄りや
幼児でも食べられるやわらかさ
ポルトガル料理
たことじゃがいものグリル
「ポルヴォ・ア・ラガレイロ」も
みなさんに好評でした
天草・有明のグルメなみなさんと一緒に

ちなみに、ポルトガル料理で
一番好評をいただいたのは、
たこのサラダ。
香菜とイタリアンパセリをきかせ、
にんにくを隠し味にした食べ方が、
新鮮だったそうです。

それにしてなによりも、
私が一番
楽しく過ごさせていただいた気がします。
天草・有明のみなさま、
本当にありがとうございました!
また、お邪魔させてください。

2014/02/16

天草行きのイルカ飛行機

親子イルカの飛行機なんて、かわいすぎます!
1月末から2月頭にかけて、
熊本県の天草を訪ねました。
昨年秋に開催した、
ポルトガル料理で天草食材をPRする
イベントがご縁です。

今回は、
天草のたこを使った
ポルトガル料理を御紹介し、
私もたこ料理を教わるのが
最大の目的。
うまくいくことだけを願って、
やや緊張気味に出発。




熊本空港から乗った天草行きの飛行機に、
早速癒されました。

さあ、乗ります!
イルカの親子のラッピングが
このうえなくキュートなんです。
目の覚めるようなブルーが爽やかで、
くりっと描かれたおめめも、
キュッと閉じた口もかわいい。

デザインは公募から選ばれたそう。
ひと目で全貌が掴める小さな機体も、
さらに特別感を盛り上げてくれました。








天草の海岸沿いが見えてきました

機内からの眺めもひと味違います。
眼下に熊本や長崎の海や山や田畑、
住宅街の景色などが広がって、
それもかなり具体的に見えることが多い。
離陸から着陸まで、窓に首がくっついたままでした。

青や緑の海の色も
グラデーションが深く複雑で、
まるで生き物のよう。
雲仙普賢岳も、
この日ははっきりと見えました
(写真には収められなかったけど)。


フライト時間は短くて20分ほど。
あっという間とはまさにこのことです。
機内はなんというか、
車の中のようなリラックス感があって、
すぐそばにいるCAのお姉さんとも
雑談がはずみそうな距離感。
外からも中からも楽しめる天草エアライン。
飛行機好きの方には、
ぜひ一度味わってもらいたい楽しいフライトでした。



コンパクトな空港って、親しみやすいなあ
乗ったばかりなのに、もう天草空港に到着。
さて、どんな出会いが待っているのかな。
7年ぶりの天草に期待は膨らみます。

旅の報告、続きます。




2014/02/15

3月1日(土)ポルトガル料理のイベント開催します。

お知らせです。

3月1日(土)12時より、
料理や料理の本が好きな人達に大人気の
紀尾井町COOKCOOPBOOKにて、

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を開くことになりました。

ポルトガル料理3品のデモンストレーションと、
旅の話を、ポルトガルワインとともに気軽に楽しんでいただくイベントです。
お申し込みはこちらです。

私もとても楽しみです、
お待ちしております!