2015/03/30

リノベーション その⑥ 部屋の印象を決める床と壁

どんな部屋に住みたいか。
どんな部屋が心地良いか。

そもそも、自分にとっての心地良さって何?
広さ?
温かさ?
明るさ?
自然素材?
便利さ?
シャープさ?
カッコよさ?
カラフル?
ナチュラル?
モノトーン?
モダン?
シック?
ヴィンテージ感?
こなれ感?
?????

リノベーションでも新築でも、
自分の好みの空間を作るには、
まずはどんな感じにしたいのかというイメージが欲しい。
でもこれって意外と曖昧。
自分の嫌いなものははっきりあっても
好きなものってたったひとつじゃないから、
一定の方向性を決めるまでは
あれこれ迷いがち。

そんなとき、参考程度でいいので
自分好みの空間のイメージを具体的なビジュアルで掴んでおくと、
リノベーションに関する選択と決断が、
スムーズになると思います。

たとえば
映画のシーンで見た家、
写真集で見た部屋、
以前訪ねたホテルの空間、
おしゃれな友人の部屋、
気になるカフェの設え、
旅先で入ったレストランの雰囲気、
美術館や博物館、
ライフスタイルショップなど、
思いがけず自分のアンテナにひっかかった空間ってありますよね。


私の場合は、

写真はMIMOCAカフェHPより
香川県の丸亀市にある
「丸亀市猪熊弦一郎美術館」のカフェ
「カフェレストMIMOCA」がそうでした。
覗いた瞬間に、
この空間に住みたい!と
思いました。

スペースを囲う大きな窓からは光が入り、

白い壁と天井、木の壁面
床は一面スカイブルーの絨毯。
その上で、プリントされた猪熊さんのイラストが遊んでいます。
壁には猪熊作品がさりげなく飾られています。
そこここにおかれた家具類は、
サイトの紹介によると

店内のインテリアはイサムノグチ、剣持勇ら猪熊弦一郎にゆかりのある作家、

あるいはアルヴァ・アールトやハンス・J・ウェグナーや猪熊と同時代に活躍した
デザイナーがデザインした家具を中心に構成されています。

とのこと。

無垢の素材のものや有機的な形のソファなどが点在し、
やさしい雰囲気と遊び心が感じられる
穏やかな空気が流れる空間でした。

印象をひとことで言うと、
温かみのある箱のような場所。
光と、やわらかい質感の床と、心地良い白さに、軽やかな遊び心。
そっくりそのままを部屋に投影するわけではないけれど、
雰囲気は意識したい。

そこからまず、床と壁を考えました。
部屋の面積で最も広い部分ですから、
ここが決まると部屋全体の雰囲気も決まってくる。
床はやわらかさが出る絨毯に、
壁は、白さが気持ち良い漆喰や珪藻土を考えました。



縦の目が奥行きを強調

床の絨毯は、
最初はサイザル麻を考えていました。
素足で歩いて気持ちの良い素材もいいなと。
でも、現物を見ると色が濃かったり、
思っていたより素材がハード。
リビングでは寝っ転がる可能性もあるので、
そんなとき、ひじや足に跡がついたら痛いなあ。
サイザルウールという混紡のものもありますが、
広い面積で敷くならもう少し浅い明るい色がいい。

そんなわけでサイザル麻ではなく、
アイボリーに近い色の、
縦の織目に焦げ茶が入った
毛足がやや長いウールの絨毯を選びました。





織目が比較的はっきりしているので、
広いスペースに縦を生かして敷くと
まっすぐなラインができ、広さを感じるだろう、という計算。
実際に敷いてみると、
この織目の縦線効果は予想以上のものがありました。



次に壁です。
田邉君の家づくりの真骨頂でもある漆喰の壁。
次々と素材の知識とアイデアが出てきます。
知らないことを知るって、すごく楽しい。
雑誌やウェブで珪藻土ばかりを意識していましたが、
聞いてみると、北海道の帆立て貝の貝殻を砕いて、
漆喰にしているものがある。
調湿、防臭など空調機能も優れていて、
何より壁に柔らかさがあります。



ほたての貝殻の白壁は空気がクリアに感じます。
においがこもらず、絵も映えます!
そして原材料が、北海道の帆立て貝の貝殻。
エコですねえ。
実際、漆喰の商品名が「エコドマスウォール」の「ほたて白壁
せっかく壁に塗るなら、
エコで体にやさしい健康的なものがいい。
そして、原材料が何者かが
はっきり分かると気持ちがいい。

塗り方も、ラフな感じからつるっとしたスコッタ仕上げまでありましたが、
ところどころ陰影が楽しめる
ラフな感じでお願いしました。



床と壁は一番投資したい部分だったので
田邉君に頑張ってもらい、
彼がよく知る腕の良い左官職人さんや材料屋さんとのお付き合いのおかげで
なんとか予算内で進めることができました。



グレーの部屋は、ぐっと落ち着きます

ちなみに、離れた寝室の床は濃紺の絨毯。

ここの壁も最初はホタテ漆喰を考えていたのですが、
濃紺の絨毯と浅いグレーの壁紙にして、
落ち着きを出すことにしました。



★リノベの心得 その5
作りたい部屋の雰囲気をつかんだら、
床や壁からベースの雰囲気を作る

小さいサンプルで大きな面積を想像するのは
なかなか難しいですが、
施工例や建築家・デザイナーの意見を参考に、
想像あるのみ!

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