2018/04/19

ポルトガル子連れ取材旅3月21日ポルトの対岸へ

もっともポルトらしい景色のひとつが、対岸のガイアからの眺めだと思うと言えば、
きっとポルトの友人達もうなずいてくれるだろう。
最初にこの眺めを目にした10数年前、私は一体何枚写真を撮ったっけ。
年月が経っても、目にすると撮らずにはいられない、この景色。
街の歴史がにおい立ち、なおかつ今の人達の生活感もにじみ出る、
哀愁と逞しさがほどよく混じった感じがするのだ。

川沿いの通りカイシュ・ダ・リベイラに立ち並ぶのは、レストランや土産物店が多い。

けれどときどき、洗濯物がたなびいている上の階の窓辺の部屋などを見かけると、
ずっと住んでいる人なんだろうか、
間借りしている人なんだろうか、
階下のレストランの持ち主なのだろうかと想像してしまう。

ドンルイス1世橋を渡ったヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアという地域は、
ポルト市街だが歴史的にはポルトと切り離せない密接な関係にある。
理由はこの一帯が、ポートワインを製造・輸出するシッパー達の本拠地だからだ。
ドウロ川河口のこの町は、ドウロの上流で造ったぶどうでポートワインを貯蔵、熟成、ブレンドして、長年イギリスをはじめ海外に輸出し、外貨を得て国を支えてきた。
特に大航海時代の後、財産と言えるものがすっかりなくなったポルトガルを支えたのが、
ポートワインによる収入だ。
ヨーロッパで最初にポートのぶどう畑に対する原産地呼称制度を確立したのも、
ポートワインの質を自ら守るべく、
当時の宰相ポンバル侯爵が打ち出した政策の一つだった。

ポートワインの歴史に興味を持った人は、
このガイアに何十と立つシッパーの建物で試飲ツアーに参加するといい。
蔵の様子を見学したり、歴史を知ったり、テイスティングもできる。
こんなとき、娘はちょっとかわいそうだ。
ほくほく喜んでいるのは大人ばかり。
お酒の楽しさは、人生の厳しさを味わうようになってからこそのご褒美だからね。



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